しくじり先輩 「俺みたいになるな!」1

今回から数回に分けて、高校受験で苦戦した先輩について記載したいと思います。

これを読んでいる受験生、保護者の方々が「他山の石」として参考にしていただければ幸いです。

 

 

ケース①.出願直前に「志望校が決まらない!」と言い出したA君の場合

 

A君はよく言えば屈託なく明るい、人によってはノリのいいお調子者という印象を抱く生徒さんでした。

成績は下位だったのですが「楽しい高校生活を送りたい」という希望は持っていました。

また、保護者の方も「上級学校には行かないので、それでいい」

「入学後、勉強についていけなくて困るかもしれないから、上位校は望まない」という意見でした。

 

夏休み前には受験生全員に「夏期講習会や通常授業の合間に、高校の説明会・見学会に行っておいで」

「特に公立高校はこの時期に集中しているから、チャンス。必ず複数の高校に行くこと」と指示を出しました。

実際、この年には希望する受験生を引率して公立高校の合同説明会に参加しました。

 

9月下旬、当塾最初の進路相談会の際、A君は「機械いじりやガーデニングに関心がある」と言っていました。

「じゃあ、工業高校の機械科か農業高校をターゲットに考えよう」ということになり、

「ところでこの2つの高校の説明会には行ったんだよね」というと「実はまだ・・・」という事。

「この後にも機会があるから、必ず行って、その上でご家族で相談して結論を出そう」という事になりました。

もちろんA君も「はい」と返事をしていました。

 

次の進路相談会は10月下旬。

「まだ決まらない」というA君に「説明会は行ったんだよね?」と聞くと、

「実は・・・、まだです」とのこと。

「お~い、年内にあと1回ずつしかチャンスはないぞ。必ず行って『情報』を掴んでくること」

「決め手になる『情報』がないと、キミは志望校を決められないぞ」と話し、

A君も「はい」という「今度こそは」という思いのこもった返事を聞かせてくれました。

 

さて年明け。

私立高校入試と最後の模試も結果が出そろい、あとは最終ターゲットである公立高校への出願を残すのみになりました。

ところがこの時期になってA君が「どこにしたらいいんだ! 志望校が決まらない!」と言い出しました。

「2つの高校の説明会に行ったんだろ? 自分にとってそれぞれのいい所・よくない所を比べて決めるしかないよ」というと

「実は・・・説明会には行っていません」という衝撃の発言!

 

私は半分呆れかえりながら、

「それじゃあ決め手に欠けるわけだ。11月以降の模試の志望校判定では、いつもこの2つを書いていたとはいえ」

「説明会の日程終了後に『説明会に行ったか?』と聞くと『はい』と返事をしていたので油断していた」

と私自身にも反省事項を山ほど提供してくれました。

 

とはいえ、この時点で何の情報も無ければ志望校決定が難しいのも事実。

そこでA君には

「中学校の授業が終わったら、そのまま自転車で行ける高校のパンフレットを集めておいで。それを基本的な情報源にしよう」

と提案しました。

流石にまずいと思ったA君は、今回の指示はしっかり実行し、数校のパンフレットを集めてきました。

中にはしっかり説明をしてくれた高校の先生も複数いらっしゃいました。

 

そんな中で、急遽進路相談会を開催。

最終的には、保護者の方の「機械いじりやガーデニングと言っても、本人はそんなに深い関心がある訳ではない」

「そこから考えると、将来の方向性に自由な余地のある普通科か総合科がよいかと」という意見でまとまりました。

 

A君は深谷高校を受験。合格を決めました。

単純に考えれば「第一希望に合格したのだから『しくじり』とは言えない。成功例でしょ」という事になるかもしれません。

 

しかし、以下の点を考慮するとこれは『しくじり』の好例と言える結果だったと思います。

①.A君の将来の志向をしっかり確認しなかった。

②.高校の説明会の重要性をしっかり伝えきれなかった。

③.A君の入手した情報の詳細を確認していなかった。

④.日々の学習状況の確認がやや疎かだった。

 

今回のA君のケースからは

「勉強するだけが高校受験ではない」

「自分の志向を見直し、それに合わせた情報入手と判断も重要」

ということが分かると思います。

 

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