本日でお盆休みも終了という方も多いと思います。夏休みも後半戦。塾では9月頭の模擬試験をターゲットに中3生が連日の頑張りを見せています。
さて「国語 なぜ難しく感じるのか?」の五回目です。
前回は「文章を読むときのコツ」についてお話ししました。今回は具体的にどのような文章を読めばいいのかについて私見も交えてお伝えします。
私がお勧めしたいのは、星新一さんが書いてきた一連の作品群「ショート・ショート」と呼ばれるものです。
その名の通り一つ一つの作品が極めて短く、中学生、あるいは少々おませな小学生でも十分に楽しめるものです。
思春期の人が楽しめるからと言って、いわゆる「お子様向け」になっていないのが、星新一さんの作品のすばらしさです。
星新一さんは1997年に亡くなるまで、1001と言われる膨大な作品を書いてきました。2018年現在よりもコンピュータの機能が若干進んでいなかったので、その点での古さを感じることもあるかもしれませんが、そのほかの点では今なお新鮮さを失っていません。
基本的に登場人物の名前や金額などに具体的な表記を使わず「エフ氏」「エヌ氏」「大金」と表記するので、作品が時代の変遷に巻き込まれないのです。
また一文も長々とした説明がなく、必要簡潔に書かれているので、「主語」「述語」を見失うことがありません。何よりも一つ一つの話が短く、面白いので、次から次へと読みたくなる魅力があります。星新一さんによって「小説の毒」を知った人はかなりの数になるのではないでしょうか。
このような作品ですので、過去には小学5年生の国語の教科書や、中学2年生の英語の教科書に(英訳されて)掲載されていました。私自身は英語版を塾で教えたことがあるのですが、その「落ち」の奇抜さを知った生徒の「うわっ、これヤバイ」という声と、落ちが分からず隣の友人に聞いていた生徒が「えっ、それホント」と奇想天外な結果に思わず口にした言葉が忘れられません。
現在では各社から文庫版が何冊も出ています。読書感想文を書くのにも長時間の読書が不要で、かつ面白いので、読んだことがない人には必読と言えるほどです。
また無駄のない文章を読むことで、読解力や表現力のアップも期待できます(ただし今すぐという効果は難しいですが、じっくり育んでほしいですね)。
という訳で本日は「気軽に読める。しかし文章にどっぷりと浸れる」星新一さんの作品群の読書への誘いとなりました。是非一度目を通してみてください。