昨日、新聞に折り込み広告を入れましたが、ご覧いただけましたでしょうか。
既に複数のお問い合わせをいただいており、1件はほぼ入塾が決まりました。ありがとうございます。
なお、新入生は新中3生を除き引き続き募集しています。興味をお持ちの方、「話だけでも」という保護者の方からのご連絡をお待ちしています。
さて、先日に引き続きまして難しくなっている国語の入試問題に関する考察です。
私見によると国語の入試問題の難度が上がったのは2010年以降なのですが、まずは「なぜ高難度化したのか」について考えたいと思います。
その理由はおおよそ以下のようにまとめられるかと思います。
・ 2010年に埼玉県公立高校の入試は1教科40点満点から100点満点に変更され、問題数の増加や各問題の難度による得点の差の設定がそれまで以上に自由になった。つまりそれまでは選択問題でも記述問題でも各問題の得点は1ないし2点にしか設定できなかったのが、選択問題は1点・記述問題は2点・論述問題は4~5点のように問題の難度によっての差を大きくすることができるようになった。
・ いわゆる「ゆとり教育」の中で育成されてきた討論・ディベートの力を国語の問題を使って問おうとしている。
・ 2020年の大学入試改革を前に「自分の力で論理的に考える」学生がより求められるようになっていることに対応している。
このうち最大の理由は2010年の「40点ー100点への変更」と思えますが、必ずしもそれだけでなく日本の学校教育をめぐる環境がこの変化を生んでいると思います。
では、実際にどのような点が変わってきているのかについて、各分野ごとに見ることにしましょう。ここでは前回提示した「難度化が進んでいない順」に説明したいと思います。
①.小説
まずは小説です。埼玉県の入試問題では大問①を占めていて、受験生が最初に当たる問題です。ただ基本的には「少年少女の成長物語」からの出題というパターンは数十年間変わっていません。
先日、学習塾向けの「入試問題研究セミナー」で講師が「埼玉県の国語の小説は”大人が気に入らねえ”っていう問題なんですが」という話をしていましたが、まあ必ずしもそれだけではないといっておきましょう。
むしろ「自分に自信が持てない」「大人になるって何だ」という気持ちの少年少女が主人公なので、そこから脱却して「自立していく」過程に進む状況が描かれているという内容です。そのきっかけは「他者との交流」です。この他者とは友人であったり、教師であったり、両親・先輩・老人等の登場人物です。いわば「主人公が成長するための触媒」として出てきます。
ですから「この時の主人公の気持ちは?」「登場人物の気持ちが表れている行動は?」という問題が例年確実に出てきます。また40点満点の時と問題数もほとんど変化ありません。
②.古典
入試では大問④に登場する古典は40点満点の時に比べると、問題数が1問増えています。また問題文を見るとそれまでに見られなかった「漢文」の知識を問う問題が出題されるようになってきました(2011・2012・2017年)。それまで埼玉県の公立高校入試で漢文に関する問題はほとんど出されたことがなく「出題の幅が広がった」といっていいと思われます。また短歌や俳句の知識に関する質問の頻度も上がっています。かつては「古典=古文」と考えてもよかったのですが、今や古典全般に関する知識が必要になっています。
③.漢字・文法
40点満点の時代には大問②③と別れていた漢字・文法の問題は100点満点になり、大問②にまとめられました。しかし、漢字の問題については特に変わったということはありません。それに対して大きく変わったのは「文法」の問題です。
一番大きく変わったのは「文法用語を知らないと解けない問題が出てきた」ということです。
例えば2010年「連用修飾語」、2013年「活用」、2014年「活用形」、2015年「用言」、2016年「連用修飾語」、2017年「補助の関係」などです。これらの文法用語は一通りの学習ではなかなか理解や記憶が追いつきません。中学校において英語の学習は文法を中心に行われていますが、国語の学習はどうしても小説や説明文・論説文の読解が中心になり、文法については定期試験の前に「やっつけ作業」的な学習になりがちなのも事実です。
英語の文法と国語の文法を比較しながら、、学習すれば、相互理解も深まると考えるのですがいかがでしょうか?
さて、本日は「小説」「古典」「漢字・文法」について、どのように出題傾向と難度が変わってきたのかを考察してきました。
次回は残った「作文」「説明・論説文」について、考えてみたいと思います。