中学1年生は7月から方程式の学習に入っている。
1か月半が過ぎて「式についた余計なもの、邪魔なものを消してX=の形にすればいいんだよ」というポイントを把握して、全員が計算問題にはほぼ対応できるようになってきた。
さて、ここからは例年苦しむ人が多い応用問題(文章題)だ。今回はこのことについて少々お話をしたい。
この応用問題が苦手な人は「どうやって方程式を作ったらいいのかが分からない」という点に陥っている。
例えば次のような問題がある。
「Aさんがお店に行って、1個100円のリンゴと1個60円のミカンを合わせて9個買いました。1000円払ったらおつりが260円でした。リンゴを何個買いましたか」
この問題を読んだとき、数学に苦手意識の強い人は「もうダメだ」「わかんな~い」とすぐに根を上げてしまう。
そこで「ほらほら、こういう時には求めるもの・わからないものをXにしてみるって教えたよね。じゃあ、求めるものってなんだ?」というと「リンゴの数」という答えはすぐに返ってくる。「そうだ。じゃあ、リンゴの数がXならば、ミカンの数はどうなる?」と次の質問をする。
これがこの問題のポイントだ。「9X」という生徒がいるので「お~い、それはリンゴが9個っていうことだぞ」というと「わからな~い」が返ってくる。
そこで「リンゴとミカンは合わせて9個だよね。じゃあ、リンゴが1個ならばミカンは何個だ?」と質問すると「8個」と即答だ。「なぜ8個になるのか、計算式を言ってみて」「9-1」
「じゃあリンゴが2個の時のミカンの数を出す式は?」「9-2」「リンゴが3個ならば?」「9-3」「4個ならば?」「9-4」。
ここまでくると「もうわかっただろう。リンゴがX個の時のミカンの数は?」「9-X個」「そういうこと。じゃあ、ミカンの個数も決まったから方程式を作ろう」と言って、私はホワイトボードに次のような言葉の式を書く。
リンゴ全部の値段 + ミカン全部の値段 = 払ったお金 - お釣り
「さて、リンゴ全部の値段ってどうすれば出せるかな?」と質問すると「1個の値段x数」という答えがすぐに返ってくる。「そうだね。それはミカン全部の値段も同じだ」と言って、上の式の下に次のような言葉の式を書く。
(リンゴ1個の値段X個数)+(ミカン1個の値段X個数)=1000-260
「それじゃあ、仕上げだ。リンゴ1個の値段はいくら?」「100円」「リンゴの数はいくつにしたっけ?」「X個」「じゃあ、この式の最初の( )の中はどう表せる?」「100X」その通りである。「じゃあ、後ろのミカンの値段の( )の中は?」「60(9-X)」。
こうしてこの応用問題の方程式が出来上がった。
100X+60(9-X)=740
あとはこれを解いて、X=5 よって 答え 5個 となる。
方程式の応用問題のポイントは、言葉で方程式を作ること。そしてそれに数字や文字式を当てはめていくこと。この問題文の関係・内容を式で表すことができたら、事実上解いたも同然である。
そのためには上記の「もしもリンゴが1個だったら」のように具体的に考えて、関係・内容を把握することが大切になってくる。
当塾では以前の新聞の折り込み広告に「数学も国語力が大切」と入れたのだが、それはこのようなことに由来している。