前回は「まず計算スピードを上げること」を中心にお話しをしました。
その基礎ができたところで次の段階へ進みます。
それは「分数を理解すること」です。算数・数学が苦手な人の多くがこの「分数の計算が苦手」です。
そのような生徒さんを見ていると次の三点が浮かび上がってきます。
1.分数の定義がよく分かっていない。
2.1がよく分かっていないので、「通分」「約分」など分数の計算で必要なことをする理由がつかめていない。
3.「通分」「約分」などの理由は理解できても、基本的な計算が遅く不正確なため、分数の計算に対する苦手意識が強くなる。
このうち「3」については前回お話しした「100マス計算」等で対応できます。
問題は「1」ですが、これについては板チョコやケーキを使って具体的に考えてみるとわかりやすいと思います。
実際に切ってみた「1/8のケーキ」と「1/6のケーキ」は大きさが違うから、足し算をしても「分母と分子をそのまま足して2/14」ということにはならないとわかるはずです。
さらに板チョコを割っていくと「1/3」が「2/6」でもあったり、また「4/12」でもあることに気付くはずです。
こうして「頭の中で出口を求めていた知識」が「具体的な事例」と結びついて「理解」へと昇華していきます。これは以前、理科や社会の学習でも述べたところです。
ここまでくれば、基本的な問題を繰り返し説くことで「理解は定着」します。分数についても実体験としてとらえることができているので、「通分」「約分」もその意味が理解できるようになります。
さて、小学校で学習する分数ですがこのあと中学校・高校でも利用します。それだけに中学入学前には分数の計算問題に対する苦手意識は払拭しておきたいところです。
ちなみに当塾では小6生の算数の始業時には分数の計算問題を解くようにしています。必要があれば中学生の数学の授業でも行います。分数の計算力無くして数学の正答に辿り着ける問題は少ないからです。ただ苦手な生徒さんは苦手意識に凝り固まっていることが多いので、半年など長期的な視点で少しずつ苦手意識を「削り取る」ことが大切と考えます。